FAQ -Ver1.1 (回答)
- カーボン・オフセットとはどのような活動を指すのか。
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カーボン・オフセットとは、環境省が2008年2月に公表した「我が国におけるカーボン・オフセットのあり方について(指針)」では「市民、企業、NPO/NGO、自治体、政府等の社会の構成員が、自らの温室効果ガスの排出量を認識し、主体的にこれを削減する努力を行うとともに、削減が困難な部分の排出量について、他の場所で実現した温室効果ガスの排出削減・吸収量(以下「クレジット」という。)を購入すること又は他の場所で排出削減・吸収を実現するプロジェクトや活動を実施すること等により、その排出量の全部又は一部を埋め合わせること」と定義されています。*
この定義によれば、カーボン・オフセットとは、例えば政府や事業者が温室効果ガスの排出削減目標を遵守するために補足的に京都メカニズムのクレジットを利用することも含まれますが、指針においては、市民、企業、NPO/NGO、自治体、政府等が国民運動や公的機関の率先的取組の一環として温室効果ガスの排出量削減・吸収量増加に貢献するために主体的に行うものを対象としています。
*なお、クレジットは無効化して初めてオフセットが完了します(詳しくはこちらを参照)。
- カーボン・オフセットの類型にはどのようなものがあるのか。
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カーボン・オフセットの主な類型としては、市場を通して広く第三者に流通するクレジットを購入する場合(市場流通型)と、市場を通さずに特定者間のみでクレジットのやりとりをする場合(特定者間完結型)があります。
(下記は分類の一例を示したものです。実際にはオフセットの取組は多種多様であり、かならずしも下記分類に当てはまらないこともあります。)- 市場を通じて第三者に流通するクレジットを活用したカーボン・オフセット(市場流通型)
市場流通型については、概ね以下のような4つのタイプが考えられます。
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(商品使用・サービス利用オフセット)
市民、企業、NPO/NGO、自治体、政府等が商品を製造・使用・廃棄したり、サービスを利用したりする際に排出される温室効果ガス排出量の全部又は一部について、当該商品・サービスと併せてクレジットを購入することで埋め合わせるもの(市民、企業、NPO/NGO、自治体、政府等は、オフセットに要する費用を含む商品・サービスを任意で購入)。
(例)
・家庭やオフィスの電気製品等であってクレジット付きのものの購入やリース
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(会議・イベント開催オフセット)
国際会議やコンサート、スポーツ大会等の開催に伴って排出される温室効果ガス排出量を埋め合わせるもの(費用は主催者及び関係者又は参加者が負担)。
(例)
・会議やイベント等での電気使用や出席者の移動等による温室効果ガス排出量のオフセット -
(自己活動オフセット)
市民、企業、NPO/NGO、自治体、政府等が、他の場所で排出削減・吸収を実現するプロジェクトからのクレジットを購入することで、自らの活動に伴って排出される温室効果ガス排出量をオフセットするもの(費用は基本的に市民、企業、NPO/NGO、自治体、政府等が自己負担)。
(例)
・家庭における電気・ガスの使用等に伴う温室効果ガス排出量のオフセット
・企業の本社ビルの電気使用等に伴う温室効果ガス排出量のオフセット -
(自己活動オフセット支援)
クレジット付き商品・サービスであっても、当該商品・サービス等とは直接関係のない、(当該商品・サービスの購入者である)消費者の日常生活などに伴う排出量をオフセットすることを目的としているもの(市民、企業、NPO/NGO、自治体、政府等は、オフセットに要する費用を含む商品・サービスを任意で購入)。
(例)
消費者一人あたり1日1kgの排出量オフセットを謳い、缶入飲料1本につきクレジット1kgが付いている商品など
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(商品使用・サービス利用オフセット)
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市場を通さずに特定者間のみで実施されるカーボン・オフセット(特定者間完結型)
オフセットの対象となる活動から生じる排出量を、市場を通してクレジットを購入することではなく、別途に排出削減・吸収活動を行ったり、別途の排出削減・吸収活動から直接クレジットを購入することによりオフセットするもの。
- 市場を通じて第三者に流通するクレジットを活用したカーボン・オフセット(市場流通型)
- オフセット型の商品・サービス等のオフセットに要する費用を商品・サービス等の価格に上乗せして購入者が払うのではなく、事業者が負担していると説明している例があるが、カーボン・オフセットと呼べるのか。
- カーボン・オフセットの狙いは、温室効果ガスを排出する者自らが、地球温暖化問題は自らの行動に起因して起こる問題であることを意識し、自らの排出量を認識し、できる限り削減する努力を行った上で、残された排出量をオフセットするための費用を支払い、温室効果ガスの削減コストを認識することにより、より一層の排出削減努力を促すこと、排出量のより少ない商品の購入を促進することにあります。
オフセット型の商品・サービス等のオフセットに要する費用を商品・サービス等の購入者が負担するのではなく、事業者が代わって負担しているとされているものについてもカーボン・オフセットの一形態ですが、その場合は商品・サービス等の購入者の行動をより確実に促すことができるよう、その商品・サービス等を提供するに当たって、「誰が出しているどのような排出をオフセットしているのか」「どのような排出削減努力を行っているのか」などの情報を購入者に対してより積極的にかつわかりやすい形で提供していただく必要があると考えます。情報提供のあり方については、「カーボン・オフセットの取組に係る信頼性構築のための情報提供ガイドライン」(略称:情報提供ガイドライン)を参照してください。オフセットの類型毎に、情報提供すべき項目について一覧や記載例が示されています。
- 指針に示されたカーボン・オフセットの定義を踏まえると、京都議定書目標達成のために寄付するという形の商品・サービス等(該当する商品の製造・使用時の排出量等の埋め合わせとは関係なく、商品・サービス等の価格にクレジット価格を付加したもの)とカーボン・オフセット型の商品・サービス等(該当する商品の製造・使用時の排出量等の全部又は一部を埋め合わせるクレジット価格を付加したもの)とを区別した方がよいのではないか。
- 京都議定書の目標達成に貢献するために一定量のクレジットの購入費用や一定額のクレジット購入費用を寄付するというものと、カーボン・オフセットは区別するべきだと考えます。
「京都議定書の目標達成に貢献するために寄付する」という形の商品・サービス等には、オフセットの対象となる活動・排出量が特定されておらず、排出削減努力も行われないまま、商品・サービス等の価格に京都クレジット等の購入・寄付に充てられる費用が付加されるものがあります。このような商品・サービス等については、「カーボン・オフセット」という用語を商標や商品・サービス内容の説明に用いるのは適当ではありません。なお、オフセットの対象が該当する商品の製造・使用時の排出量等と関係づけられない場合でも、例えば自己活動オフセットの一種として、商品購入者・サービス利用者の日常生活の中でのさまざまな排出量のうちの一部をオフセットしているものであるという説明を加えていただき、主体的にそれらの排出削減努力を行う必要があるといった情報提供をしていただくことなどにより、「自己活動オフセット支援型」として、カーボン・オフセット商品・サービスと位置づけることは可能です(詳しくはこちらを参照)
一方、商品の排出量等の全量又は一部をオフセットするカーボン・オフセット型の商品・サービス等については、「誰が出しているどのような排出をオフセットしているのか」、「オフセットに要する費用はどのくらいなのか」、「どのような排出削減努力を行っているのか」などの情報を購入者に対して提供していただく必要があると考えます。情報提供のあり方については、「カーボン・オフセットの取組に係る信頼性構築のための情報提供ガイドライン」(略称:情報提供ガイドライン)を参照してください。オフセットの類型毎に、情報提供すべき項目について一覧や記載例が示されています。
- 排出量に見合うクレジットを買ってオフセットすれば排出削減努力をする必要はないのではないか。
- 地球温暖化防止のためには、長期的に地球全体での温室効果ガスの排出量を削減していく必要があり、日本政府は、「クールアース50」において、世界全体の排出量を現状に比して2050年までに半減するという長期目標を掲げています。このためには、日々の生活や経済活動などにおいてできる限り温室効果ガスの排出が少ない社会である『低炭素社会』の構築が必要不可欠です。単にお金を払ってクレジットを購入し排出量をオフセットするだけでは不十分で、さまざまな工夫によって主体的に自らの排出量を減らす努力を行うことが、低炭素社会の構築に当たって必要不可欠となっています。
環境省指針においても、カーボン・オフセットの取組を推進する意義の第一として、「市民、企業、NPO/NGO、自治体、政府等の社会を構成する者が地球温暖化問題は自らの行動に起因して起こる問題であることを意識して、これを「自分ごと」と捉え、主体的に温室効果ガスを削減する活動を行うことを促進することにある」とされています。
身近な生活においても排出量を削減する方法はたくさんあります。例えば、チーム・マイナス6%のHP(http://www.team-6.jp/)では、日々の生活において排出される二酸化炭素を削減する方法が紹介されています。また、カーボン・オフセットが他の商品・サービス等であれば、商品の製造・輸送・販売・使用などによる温室効果ガスの排出量等ができるだけ少なくなるように努力することも必要です。
まず排出量を認識した上でそれを削減する努力を行い、それでも排出されてしまう排出量をオフセットする、その際オフセットに要するコストを認識することでこれまでの温室効果ガス多排出型の生活を見直し、より一層の排出削減努力を行う、カーボン・オフセットを推進することでこうした二酸化炭素の排出削減の好循環を社会の中に組み込んでいきたいと考えています。
- カーボン・オフセットにより埋め合わせる対象となる活動の範囲(バウンダリ)はどのように考えればよいか。
- 原則として、オフセットを行おうとする主体がその対象となる適切な範囲(バウンダリ)を選択することが望ましいと考えます。例えば商品・サービスの利用に伴う排出量のオフセットであれば、利用に伴う排出だけでなく、その生産や輸送などに伴う排出量まで含めるかどうか、イベントの開催に伴う排出量のオフセットであれば、イベントそのものの排出だけでなく参加者の移動に伴う排出も含めるかどうかなど、オフセットの対象とする活動によりさまざまな範囲の捉え方が存在します。カーボン・オフセットのバウンダリは、排出に係る自らの責任も考慮した上で、できるだけ広く取ることが望ましいですが、カーボン・オフセットを行おうとする者が自らの活動状況に合わせて柔軟かつ多様な形で取組を行うことができます。カーボン・オフセットフォーラム(J-COF)からも、カーボン・オフセットの類型ごとにどんな活動がオフセットの対象となりうるのか、具体的な事例を示していきます。
なお、カーボン・オフセット型の商品・サービス等の購入者に対しては、どの範囲の排出をオフセットしているのかについて、わかりやすい形で情報提供することが必要となります。情報提供のあり方については「カーボン・オフセットの取組に係る信頼性構築のための情報提供ガイドライン」(略称:情報提供ガイドライン)を参照してください。オフセットの類型毎に、情報提供すべき項目について一覧や記載例が示されています。
- ある活動からの排出量をオフセットしようとするときに、その排出量はどのように計算すればいいのか。
- 電気やガスなどのエネルギーの使用に伴う二酸化炭素の排出量の計算方法は、使用したエネルギー量(電気であれば○○kWh、ガスであれば○○m2、ガソリンであれば○○l)に、二酸化炭素に換算するための換算係数(排出係数)をかけることにより計算します。
このようなオフセットの対象となる排出量の算定方法については、「カーボン・オフセットの対象活動から生じるGHG排出量の算定方法ガイドライン」(略称:算定方法ガイドライン )を参照してください。なお、算定の対象を今後も拡大し、同ガイドラインを適宜改定していく予定ですので、動向にご留意ください。
また、カーボン・オフセットフォーラムウェブページの「もっと知りたいカーボン・オフセット」でも、算定に関するウェブページをご紹介しておりますので、適宜ご活用ください。オフセットに関する算定方法は、J-COFが提供する方法のみに限定されることはございませんが、お困りの場合は、カーボン・オフセットフォーラムまでご相談ください。
- カーボン・フットプリントで算定した温室効果ガス排出量をオフセットの対象にすることはできるのか?
- カーボン・フットプリントについては我が国においても検討が進行中ですが、少なくとも算定方法ガイドラインにのっとったものであれば、対象となると考えられます。具体的には、以下のような事項を満たすことが求められると考えられます(カーボン・オフセット第三者認証基準を参照)。
- 記載されている算定のレベルを満たしていること(ただし、必ずしもレベル2 以上の算定ができない、あるいはレベル2 以上を求める必要性がないケースにおいて、一部レベル1を適用している理由が妥当であると判断される場合は、この限りではない。)
- 算定方法ガイドラインで示される算定式またはそれと同等以上の合理性を有する算定式を用いていること。(少なくとも地球温暖化対策推進法に基づく算定・報告・公表制度等の広く一般的に認められる考え方に沿ったものであること。)
- 算定方法、各種データの収集方法等が文書で記録されており、妥当性が検証できること。
- 排出係数と活動量の信頼性が担保できること。
- 採用したデータ、算定方法に基づき正しい算定がなされていること。
- 算定方法ガイドラインで示される算定式またはそれと同等以上の合理性を有する算定式を用いていること。
- カーボン・オフセットに用いられるクレジットにはどのような種類のものがあるのか。
- カーボン・オフセットに用いられるクレジットには大別して京都議定書に基づいて発行される京都メカニズムクレジット(CER:Certified Emission Reductionなど)、京都メカニズムクレジット以外のクレジットで確実な排出削減・吸収がなされていることなどの一定の基準を満たすクレジット(VER:Verified Emission Reduction。Voluntary Emission Reductionとされることもある)があります*。
CERは、京都議定書に定められたルールに基づき、気候変動枠組条約事務局(CDM理事会)の認証を受けたクレジットで、国別登録簿という京都議定書上のクレジットを管理する電子登録簿で管理されています。CERは国別登録簿の政府口座に設けられている償却口座又は取消口座に移転すること(無効化)で、オフセットが完了します。
VERは、京都議定書等の法的拘束力をもった制度に基づいて発行されるクレジット以外の排出削減・吸収クレジットを指しますが、- 確実な排出削減・吸収があること、
- 温室効果ガスの吸収の場合その永続性が確保されていること**、
- 同一の排出削減・吸収が複数のカーボン・オフセットの取組に用いられていないこと等の一定の基準を満たしていることが必要です。***
*クレジットは前述の種別だけでなく、調達済みか、無効化済みか等により、性質が大きく異なります。
**温室効果ガスの吸収の永続性…植林プロジェクトによる温室効果ガス吸収量でオフセットすることとしても、例えば実際に植栽された樹木が管理不足などで枯死してしまった場合には、想定していた吸収量が発生しなかったり、それまでに吸収した二酸化炭素を再放出してしまうこととなるため、適切な管理を継続的に行う等、永続性を確保することが必要です。
***「カーボン・オフセットに用いられるVERの認証基準に関する検討会」の議論を受け、国内の排出削減・吸収活動から生じるクレジットを認証する制度として、オフセット・クレジット(J-VER)制度(以下J-VER制度)が平成20年11月より運用されています。(詳しくはこちらを参照)
****「他の場所での排出削減・吸収プロジェクトや活動の実施」とは、排出源となる活動とは物理的に異なる場所で実施される活動との意味に限定されるのではなく、排出源となる活動に関連しない活動を、別途実施することを指します。
- 国内での排出削減・吸収量をカーボン・オフセットに使うことはできないのか?
- FAQ2の分類に示した、市場流通型のオフセットに用いられるクレジットのうち、国内の排出削減・吸収量を対象としているものは、自主参加型排出量取引制度(JVETS)での排出枞(JPA)のほか、国内の排出削減・吸収活動から生じる温室効果ガス排出削減・吸収量をクレジットとして認証する制度としてオフセット・クレジット(J-VER)制度が2008年11月より運用されており、J-VERもカーボン・オフセットに活用することができます。
オフセット・クレジット(J-VER)制度は、木質バイオマス(未利用林地残材等)による化石燃料代替や、間伐等の森林管理等のプロジェクトが対象となっています。国内の温室効果ガス排出削減・吸収活動に資金面で貢献するための仕組みとして、これまでカーボン・オフセットの取組によって海外に投資されていた資金が国内で還流することとなるため、グリーン・ニュー・ディールの一環として、地域経済の活性化、国内の雇用確保といった効果も期待されています。
最新のプロジェクト情報等、J-VER制度については、気候変動対策認証センターのJ-VER制度に関するウェブページ(URL:http://www.4cj.org/jver/index.html)をご参照ください。 なお、特定者間完結型の場合は、さらに多様な形態での削減・吸収量をカーボン・オフセットに使用することが考えられますが、排出削減・吸収量を地域の有識者等第三者が確認する手法について、具体的な事例及び指針を示す予定です。
- 海外のガイドラインでは、どのようなクレジットを利用しているのか。
- 海外のオフセット市場においては、VERを用いたオフセットが活発に行われていますが*統一されたVERの認証基準はなく、厳しい基準を設定するものから削減事業の実施による実質的な削減効果がないにもかかわらずクレジットが発行されていたりする例が指摘されるものまで、さまざまです。
このような中で、英国政府が2009年1月に公表(同年5月改訂)しているカーボン・オフセットの認証制度では、認証対象となるオフセットに用いるクレジットは基本的にEU域内排出量取引制度(EU-ETS)に基づく排出枞又は京都クレジットの一部に限定していますが、将来的に、品質、追加性等につき一定の基準を満たすVERを認めることもあり得る、と記載されています。一方で、フランス政府が2008年3月に公表したカーボン・オフセットに関するガイドラインではVERの使用も認められているところです。京都議定書を批准していないアメリカ政府においても、温室効果ガス排出削減・吸収量を用いたオフセットに関するガイダンス案を2008年8月に公表しています。
*2008年のボランタリー市場の取引規模として、123.4 百万t(CO2)、704.8 百万USDという数字が報告されている(出典:Ecosystem Marketplace, State of the Voluntary Carbon Markets 2009, p6)。
- グリーン電力証書をオフセットに使う場合にはどのような手法があるのか、またその際の留意事項は何か。
- カーボン・オフセットにグリーン電力証書を用いる場合の基準については、「カーボン・オフセットに用いられるVERの認証基準に関する検討会」にて議論されていたところです。
1つの手法としては、使用する電気をグリーン電力にすることによりオフセットの前段としての削減努力を行うやり方が考えられます。
また、グリーン電力証書を用いてオフセットの対象となる排出量(例えばガスの使用や航空機の利用など)を埋め合わせる手法も考えられます。この場合には、グリーン電力証書に記載された発電量に換算係数(排出係数)をかけることによって二酸化炭素に換算しなければならず、どのような換算係数を用いるかが問題になります。また、あるグリーン電力証書が、他の複数の排出量のオフセットに用いられ二重使用とならないよう、適切に活用されることも必要です。
これらの問題については今後我が国のカーボン・オフセットやグリーン電力証書の実態を踏まえ、引き続き検討し整理していきます。
- カーボン・オフセット型の商品・サービス等の中には、商品のどの部分の排出量をオフセットしているのか説明していない例や、誰が出すどのような排出量をオフセットしているのか説明がなされていない例などがあるようだが、これらはカーボン・オフセット型の商品・サービス等としては不適当ではないか。
- カーボン・オフセットの取組は、我が国においては緒についたばかりであり、さまざまなオフセット商品が出てきています。これらの商品の中には、必ずしも指針で示したカーボン・オフセットの意義が正しく反映されていないものもあると考えられます。
2008年2月に環境省が策定した「我が国におけるカーボン・オフセットのあり方について(指針)」に基づいた適切なあり方を提示するものとして、「カーボン・オフセットの取組に係る信頼性確保のための情報提供ガイドライン」(略称:情報提供ガイドライン)や「カーボン・オフセットの取組に関する第三者認証機関による認証基準」(略称:カーボン・オフセット第三者認証基準)等を順次公表してきました。2009年4月より運営されているカーボン・オフセット第三者認証制度(以下カーボン・オフセット認証制度)においては、オフセットの対象とすると設定した活動の範囲(バウンダリ)についての排出量が、妥当な算定の考え方・算定方法によって把握されているかが認証要件となっており、当該事例のようにオフセットの対象を明示していないものは、認証を受けられないことになっています。
- カーボン・オフセットに用いられた京都クレジットを国別登録簿上で償却する場合と取り消す場合があるが、両者の違いは何か。
- 我が国は京都議定書において、2008年~2012年(第一約束期間)の間に基準年度(1990年度)比で6%温室効果ガスの排出を削減する約束を負っています。この約束の達成/不達成は、京都議定書に基づいて算定される我が国の2008年~2012年の総排出量と、国別登録簿の償却口座に記録されているクレジット総量とを比べることによって確認します。すなわち、償却口座に存在する京都クレジット総量(初期割当量AAUを含む)が、2008年~2012年の温室効果ガスの総排出量と同じ又は上回れば、京都議定書の約束が達成されたとみなされます。
京都クレジットを「償却する」とは、京都クレジットを京都議定書第一約束期間の約束達成に用いることをいいます。これを先に述べた国別登録簿上で見ると、償却口座に存在するクレジット量が増え、我が国が第一約束期間内に排出可能な枠が積み増しされることになります。カーボン・オフセットの対象となる排出量が、京都議定書第一約束期間中(2008年~2012年)に国内で排出される温室効果ガスである場合には、クレジットを「償却する」ことにより、カーボン・オフセットの取組を通じて我が国の京都議定書の目標達成のために用いられることになります。
一方、京都クレジットを「取り消す」とは、京都クレジットを京都議定書第一約束期間の約束達成には用いないようにすることをいいます。京都議定書第一約束期間中に国内で排出される温室効果ガスをオフセットする際にクレジットを取り消した場合には、京都議定書の目標達成とは別に世界全体での温室効果ガスの削減に貢献したことになります。国際航空のように、現時点で京都議定書に基づく日本の排出量に含まれない排出をオフセットするに当たっては、国別登録簿上では取消口座に移転することが必要になります。京都議定書目標達成/不達成とオフセットクレジットの流れ
※京都議定書の削減約束の達成/不達成
償却口座に存在する排出枠(クレジット)の総トン数が、我が国の2008~2012年の温室効果ガスの総排出量と同じ又は上回ることにより、京都議定書の約束が達成される。
参考:2006年度の総排出量13億4,000万トン
- カーボン・オフセットのために京都クレジットを償却し、日本の京都議定書の目標達成に用いることは、自己排出量のオフセットとのダブルカウントになるのではないか。
- カーボン・オフセットの取組は、そもそも、ある排出量に対しその全部又は一部に相当する排出削減・吸収量(クレジット)の無効化を適切に行えば、オフセットされていると考えることができます。これは、オフセットに用いられる排出削減・吸収量が京都クレジットであってもそれ以外のクレジット等であっても同様です。
ただし、京都議定書第一約束期間中(2008年~2012年)に国内で排出される温室効果ガ スをオフセットする場合、クレジットを償却することによって、京都議定書に基づく我が国の削減目標の達成に貢献することができます。この場合、当該クレジットはあくまでも自らの排出量の埋め合わせに使用されており、ダブルカウント(あるクレジットを複数の異なった排出量の埋め合わせに用いること)には当たりません。
なお、排出量取引制度が導入されて各事業者の排出量上限が明確にされている英国では、事業者の規制の下に行われる取組と、事業者や個人の自主的な取組を区別することなどの理由により、オフセットに使用したクレジットを取消すことを規定しています。一方、我が国では個人や事業者の自主的な取組によって京都議定書の目標達成を目指しており、目標達成に向けて相当な努力が必要な状況にあり、特定の個人や事業者が自己排出量のオフセット目的でクレジットを償却したとしても、すべての個人や事業者が引き続き排出削減努力を行う必要があることに変わりはありません。また、京都議定書の目標達成に自ら貢献したいという個人や事業者の要望が高く、このようなニーズに応えるためにも、償却を行うという選択肢を設けています。
- 国際航空や国際船舶を利用した際の排出量を京都クレジットでオフセットする場合に、オフセットに用いる京都クレジットを国別登録簿上で償却して京都議定書の約束達成に用いることは可能か。
- 国際航空や国際船舶による排出量は、現時点では、京都議定書に基づき日本の排出量を算定する際に日本の排出量に含まないため、国際航空や国際船舶を利用した際の排出量について京都クレジットを用いてオフセットするに当たっては、償却口座ではなく取消口座に移転することが必要となります。なお、償却口座に移転する場合には、国際航空や国際船舶の利用に伴う排出量のオフセットとはならず、京都議定書目標達成のために寄付をしているということをわかりやすく明示する必要があります。
個人の議定書目標達成への貢献を通じて
地球上から温室効果ガスを削減するカーボン・オフセット- Aさんの排出量をCERクレジットを用いてオフセットする場合、失効させる手続きは2通りあり、どちらもAさんの排出量を削減量で埋め合わせて地球上で相殺したといえる。
- しかし、京都議定書に基づく我が国の削減約束(日本の場合、基準年総排出量比6%)の観点からみて排出量を埋め合わせている(オフセットしている)」と言う場合は、国別登録簿上で償却する必要がある(注)。

(注)厳密に言えば、議定書の排出量(インベントリ)の対象外である国際航空機からの排出量や第1約束期間外の2007年の排出量を登録簿上で償却しても議定書上でオフセットしたとは言えず、 政府に対する寄付行為に該当する。オフセットしたと宣言する場合は、取消する必要がある。
- 京都議定書の第一約束期間は暦年ベース(2008/1/1~2012/12/31)だが、我が国の総排出量(インベントリ)の算定や温室効果ガス算定・報告・公表制度では4/1を初日とする年度ベース(2008/4/1~2013/3/31)となっている。企業が1年間の排出量をオフセットする場合、どちらで計算するのがよいのか。
- 我が国における京都議定書の約束期間は、一部の温室効果ガスを除いて年度ベースで計算することとしており、温室効果ガス算定・報告・公表制度においても同様の算定期間を設けているため、例えば企業が1年間の排出量をオフセットする場合には、年度ベースの排出量を計算することが簡便であると考えられます。ただし、カーボン・オフセットは自主的な活動であるため、1年間の計算開始・終了時期を限定するものではありません。
- カーボン・オフセット型の商品・サービス等を販売し、購入者に代わって京都クレジットを国別登録簿上の償却口座に移転するに当たり、どのクレジットをどの購入者のためにオフセットしたのかを証明する手段がない。どうしたらよいか。今のところはホームページでの公表等により対応するかどうか検討している。
- カーボン・オフセット型の商品・サービス等の販売に当たり、京都クレジットを当該商品・サービス等の購入者へ移転せずに販売者が自ら償却口座へ移転する場合もあります。これは、埋め合わせの確実性が確保される反面、カーボン・オフセット型の商品・サービス等の販売者がどのクレジットを誰のために償却したかを適正に管理しておく必要があります。もしこれを怠り、あるクレジットが複数の商品・サービス等のオフセットに用いられた場合には、クレジットの二重使用に当たります。
このような、カーボン・オフセット型の商品・サービス等の販売者による京都クレジットの管理については、現時点では、各事業者においてホームページ等を使って管理・公表していただくしか方法がありません。この際、一つの商品・サービス等のオフセットに用いられるクレジット量が1トンに満たない場合には、1トン単位で異なるシリアル番号を有する京都クレジットに枝番を付して管理する等の適正な管理を行っていただく必要があります。
なお、平成21年3月10日より、国別登録簿の口座保有者がいつどのクレジットを償却口座を含む他の口座へ移転したかを帳票にして打ち出すことを可能とする機能が利用可能となっています。この帳票には備考欄があり、どの購入者のために京都クレジットを償却口座へ移転したか等を、口座保有者の責任において記入することができます。また、情報提供のあり方については、「カーボン・オフセットの取組に係る信頼性構築のための情報提供ガイドライン」(略称:情報提供ガイドライン)を参照してください。オフセットの類型毎に、情報提供すべき項目について一覧や記載例が示されています。
- カーボン・オフセット型の商品・サービス等を認証したり、オフセット商品であることを証明するラベルを発行する仕組みはないのか。
- カーボン・オフセットの取組について信頼性を構築していくためには、カーボン・オフセット型の商品・サービス等について、環境省が2008年2月に策定した「我が国におけるカーボン・オフセットのあり方について(指針)」に基づいてオフセットの手続が適切に行われているかどうかを第三者が認証する仕組みや、認証されたカーボン・オフセット型の商品・サービス等に一定のラベリングを行うことにより、消費者等に対し適切に情報発信できるようにすることが望ましいと考えています。
カーボン・オフセットに関する第三者認証のあり方については、2008年3月に「カーボン・オフセットの取組に対する第三者認証機関による認証基準(Ver1.0)」(略称:カーボン・オフセット第三者認証基準)が公表されました。また、カーボン・オフセットの信頼性構築のための各種ガイドライン類や第三者認証基準をもとにカーボン・オフセットの取組を認証し、認証されたカーボン・オフセット型の商品・サービス等にラベリングを実施する制度として、2009年4月に、カーボン・オフセット認証制度が発効しました。カーボン・オフセット認証制度については、気候変動対策認証センターのカーボン・オフセット認証制度に関するウェブページをご参照ください(URL:http://www.4cj.org/label/index.html)。
- 地方公共団体としてカーボン・オフセットの取組を実施することを検討しているが、法律等の根拠規定はあるのか。
- 現時点では、地球温暖化対策推進法等に明文での規定はありませんが、地球温暖化対策推進法第20条第2項に基づく地方公共団体の自主的な努力の一つとして実施できると考えられます。2008年の通常国会で可決・成立した改正地球温暖化対策推進法に基づき、2009年6月に策定された地球温暖化対策地方公共団体実行計画(区域施策編)策定マニュアル(第1 版)においても、地方公共団体として採りうる対策の一つとして挙げられています。
また、2008年7月に創設した、カーボンアクションプラットフォーム(JCAP)等を活用して、地方公共団体の方々から広くご意見を伺い、地方公共団体としてカーボン・オフセットの取組を実施するに当たっての課題等を整理し、どのような解決策があるか検討する必要があると考えています。
- カーボン・オフセットを実施する場合の会計処理について教えてほしい。
- 企業会計基準委員会による「排出量取引の会計処理に関する当面の取扱い」(平成16年11月30日、(平成21年6月23日改正)実務対応報告第15号)によると、京都クレジットについては、将来の自社使用を見込んでクレジットを取得する場合の会計処理について、原則として「無形固形資産」又は「投資その他の資産」の購入として会計処理を行い、国別登録簿の政府保有口座に償却を目的として移転した時点において費用とする旨が定められており、この費用については、原則として「販売費及び一般管理費」とすることが考えられる、とされており、また「京都クレジット以外の排出クレジットについても、会計上、その性格が類似していることから、本実務対応報告の考え方を斟酌し、会計処理を行う」とされております。
しかし、今後、さまざまな手法のカーボン・オフセットが出てくることが予想され、それぞれの手法にあった会計処理を適切に行っていただく必要があります。
- オフセット用のクレジットを購入するインセンティブ(例えば、税制上の優遇措置)はないか。
- 現状ではそのような優遇措置はありません。カーボン・オフセットの取組状況を踏まえつつ、今後その必要性などを検討していきます。
- オフセット用のクレジットを購入した場合の損金算入は可能か。
- 環境省及び経済産業省から国税庁に対してなされた照会(「京都メカニズムを活用したクレジットの取引に係る税務上の取扱いについて」)の回答文書(平成21年2月24日)によると、京都クレジットを償却目的により政府保有口座に移転した場合の法人税の取り扱いについては、移転が完了した日に近い売買時価に相当する金額を、原則として国等に対する寄付金として、損金の額に算入することが認められています。また、内国法人が他の内国法人に京都クレジットを有償譲渡した場合の消費税の取り扱いについては、当該取引は消費税の課税の対象となるとされています。一方、内国法人による他の内国法人からのクレジットの有償取得については課税仕入れに該当し、仕入税額控除の対象となるとされています。その他詳細については、国税庁の照会を参照してください。(詳しくはこちらを参照)
ただし、現在のところ、J-VERを含む、京都クレジット以外のクレジットに係る税務上の取扱いとしては整理されていないため、会計士・税理士や所轄税務署とご相談なさることをお勧めいたします。カーボン・オフセットの実施に係る税務上の取扱いについては、今後早急に検討し、整理していきたいと考えております。
- カーボン・オフセットの推進や情報交換のために、どのようなネットワークがあるか。
- 環境省では、カーボン・オフセット等の市場メカニズムを活用した制度を構築する地方公共団体、カーボン・オフセットの取組を行う事業者等、さらにはカーボン・オフセット市場がいち早く発達した英国等、さまざまな関係者との対話を行い、カーボン・オフセットの取組の普及促進や制度改善に活用していくこととしています。
カーボン・オフセットの普及啓発を担うとして、環境省より設置され各種イベントの開催や相談支援を受け付けるカーボン・オフセットフォーラム(J-COF)の他、地域の地球温暖化対策に熱心な都道府県、指定都市、中核市、特例市を中心に構成されており、メールマガジンの発信や会合の開催を通じ、国及び地域における市場メカニズムを活用した各種イニシアティブについての情報共有・意見交換を行う場として、日本カーボンアクションプラットフォーム(JCAP)(2008年7月創設)や、カーボン・オフセットに取り組む事業者や、地方公共団体、検証機関、オフセット・プロバイダーなどカーボン・オフセットに関係する事業者等の主要な関係者によって構成され、信頼性の高いカーボン・オフセットを更に推進する活動を進めるためのネットワークである「カーボン・オフセット推進ネットワーク(CO-Net)」(2009年4月設立)があります。
また、環境省は、英国の環境・食料・農村地域省(現在では、エネルギー・気候変動省(DECC)が担当しています)との間で、カーボン・オフセットの推進に向けた情報交換の強化を図るための協力宣言文を締結しており、カーボン・オフセットを推進すべく、政府が中心となって市場におけるルール作りに先進的に取り組んでいる英国と、カーボン・オフセットに関する情報交換・協力を進めるための方策を今後検討していくこととしています。

図:カーボン・オフセットを推進するにあたっての諸団体との連携